なぜヤンデレの女の子は「排除」したり「監禁」したりするのか?

いくら愛が深く、嫉妬心が強いからといって、人はそう簡単に刺したり血を見たりできるものだろうか?「前にも似たような事してたんですか?」と言いたくなるくらい、彼女たちは抵抗なく切ったり突いたりしている。そのへんの感覚の狂い、みたいなものが、ヤンデレヤンデレたる所以なのかもしれないけど。
(うろ覚えだけど、)「小説の自由」で保坂和志がいっていた(登場人物に犯罪をさせる)「病的な想像力」とは、このへんのことなのだろうか。作者はリアリティの側に踏みとどまることをしないで、ファンタジィの方へ飛翔させてしまう。
「そもそもファンタジィじゃないか」と言われれば全くその通りなのだけど。しかし、ファンタジィにはファンタジィなりのリアリティがあって、ファンタジィだからリアリティなど関係ない、といったらそれはただの荒唐無稽だ。
(うまく言えないが)リアリティの、だから人間の、側に踏みとどまろうとすることこそが「人間性」というもので、飛翔してしまったらそれはもう人間ではない。そして、人間でなくしてしまう力、飛翔させてしまう力として、「作者」が突き破るように現れてしまい、作品の世界は破綻して、色が失われる。