去年の一冊

本当は一昨日(2008年中)に書きたかった本題です。
2008年もいろいろ借りたり古本を買ったりしました。時間がとれなくてあまり読めなかった気がしますが。そんなんでこの記事を書くのか。去年読んだなかで印象的な本。では、いってみましょ。

寮美千子『ノスタルギガンテス』

ノスタルギガンテス

ノスタルギガンテス

一冊選ぶとしたらやはりこれです。途方に暮れるほど、綺麗な青。

今西祐行『一つの花』

去年のもう一冊。
「一つだけちょうだい」とおねだりするゆみ子のお話を、教科書で読んだ方も多いと思います。このほかにも、教科書に載った作品が多く(全十二編中六編)収録された短編集です。

なぜこのような集め方をしたかといいますと、学校の先生や生徒さんたちは、教科書にのっている作品は教材用の作品としてしか読んでくださらないことが多いからです。教室の外でも読んでいただきたいと思うのです。きっとちがった味がすると思うのです。(…)私はあまり学年や年齢を考えて作品を書いたことはありません。子どもにもおとなにもおなじように読んでいただきたいと思っています。

あとがきから。
確かに全然感じが違うと思います。教科書で読んだのが、ずいぶん前だったというのもありますが、それでも。

ぼくのおはなしがおかしかったのか、子どもたちは、くすりくすりわらいながらきいていましたが、
「うん、いれてやるよ。おけに一、二はいでいいだろうなあ。」
と、つよくこっくりして、いってくれました。
「小さな海か。……そうだな、かにっこも、えびっこもとってきて、こんなかにいれとこか。そして、おらの小さな海にしようぜ。」
「おら、おけとってくる。」
子どもたちは、さっそく、ばたばたとかけだしていきました。

「はまひるがおの小さな海」から。
子どもはすぐ走っていっちゃうんだもんなあ。いいよなあ。なんだかしみじみしてしまいます。
「花のオルガン」も、かわいくて素敵です。「ヒロシマの歌」は、みんなに読んでほしいと思います。

この本には「ルリユールおじさん」や「雲のピアノ」に絵をつけられた伊勢英子さんが素晴らしい挿絵を描いています。